性質並びにその火災予防及び消火の方法
乙種第六類危険物
第六類危険物は酸化性液体です。
第六類危険物は、酸化性を有する物質で、それ自体は燃焼しませんが、他の可燃物の燃焼を促進する性質を持つ液体です。酸化力が強く、腐食性があります。アルカリ性の物質や還元性の物質とは激しく反応するため、可燃性の物質と混触した場合、その物質を酸化させ、発火させることがあります。また、蒸気は有毒です。
貯蔵・取扱いに際しては、可燃物との接触や、直射日光を避け、通風等、環境に注意しなければなりません。
消火の方法としては、水や泡消火剤を用いた消火が適切ですが、燃焼物に対応した消火方法をとることが大切です。
ここでは、このような危険性を有している酸化性液体について学習しましょう。
第六類の危険物は、消防法別表第一の第六類の項の品名欄に掲げる物品で、酸化性液体の性状を有するものをいう。
【酸化性液体】
下記の試験において一定の性状を示す液体である。
・酸化力の潜在的な危険性を判断するための試験(燃焼試験)
第六類
酸化性液体
〇過塩素酸
・過塩素酸
〇過酸化水素
・過酸化水素
〇硝酸
・硝酸
・発煙硝酸
〇その他のもので政令で定めるもの
・三フッ化臭素
・五フッ化臭素
〇前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
<共通する性質>
〇すべて不燃性の液体である。
〇すべて無機化合物である。
〇水と接触すると激しく反応し発熱するものがある。
〇酸化力が強く、可燃物、有機物と混合すると、発火、爆発の危険性がある。
〇腐食性があり、蒸気は有毒である。
<共通する火災予防の方法>
〇火気、直射日光を避ける。
〇可燃物、有機物などとの接触を避ける。
〇水と反応するものは水との接触を避ける。
〇耐酸性の容器を使用し、密栓する。(過酸化水素を除く)
〇換気の良い冷暗所に貯蔵する。
<共通する消火の方法>
〇一般的には、水や泡消火剤を使用する。
〇二酸化炭素、ハロゲン化物を用いた消火設備等と、炭酸水素塩類を使用する消火粉末は、この類の消火には不適当であるため、使用できない。
〇二次的な災害を防止する観点から、以下の点に注意する。
・危険物の飛散を防止する。
・危険物の流出事故の際には、乾燥砂をかけるか中和剤で中和する。
・腐食性があるため、皮膚や眼を保護する。(防護服、ゴム手袋、保護メガネなど)
・有毒ガスが発生するため、防毒マスクを使用する。
乙種第六類危険物
第六類危険物は酸化性液体です。
第六類危険物は、酸化性を有する物質で、それ自体は燃焼しませんが、他の可燃物の燃焼を促進する性質を持つ液体です。酸化力が強く、腐食性があります。アルカリ性の物質や還元性の物質とは激しく反応するため、可燃性の物質と混触した場合、その物質を酸化させ、発火させることがあります。また、蒸気は有毒です。
貯蔵・取扱いに際しては、可燃物との接触や、直射日光を避け、通風等、環境に注意しなければなりません。
消火の方法としては、水や泡消火剤を用いた消火が適切ですが、燃焼物に対応した消火方法をとることが大切です。
ここでは、このような危険性を有している酸化性液体について学習しましょう。
第六類の危険物は、消防法別表第一の第六類の項の品名欄に掲げる物品で、酸化性液体の性状を有するものをいう。
【酸化性液体】
下記の試験において一定の性状を示す液体である。
・酸化力の潜在的な危険性を判断するための試験(燃焼試験)
第六類
酸化性液体
〇過塩素酸
・過塩素酸
〇過酸化水素
・過酸化水素
〇硝酸
・硝酸
・発煙硝酸
〇その他のもので政令で定めるもの
・三フッ化臭素
・五フッ化臭素
〇前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
<共通する性質>
〇すべて不燃性の液体である。
〇すべて無機化合物である。
〇水と接触すると激しく反応し発熱するものがある。
〇酸化力が強く、可燃物、有機物と混合すると、発火、爆発の危険性がある。
〇腐食性があり、蒸気は有毒である。
<共通する火災予防の方法>
〇火気、直射日光を避ける。
〇可燃物、有機物などとの接触を避ける。
〇水と反応するものは水との接触を避ける。
〇耐酸性の容器を使用し、密栓する。(過酸化水素を除く)
〇換気の良い冷暗所に貯蔵する。
<共通する消火の方法>
〇一般的には、水や泡消火剤を使用する。
〇二酸化炭素、ハロゲン化物を用いた消火設備等と、炭酸水素塩類を使用する消火粉末は、この類の消火には不適当であるため、使用できない。
〇二次的な災害を防止する観点から、以下の点に注意する。
・危険物の飛散を防止する。
・危険物の流出事故の際には、乾燥砂をかけるか中和剤で中和する。
・腐食性があるため、皮膚や眼を保護する。(防護服、ゴム手袋、保護メガネなど)
・有毒ガスが発生するため、防毒マスクを使用する。
第六類
酸化性液体
【品名・物品名ごとの各論】
〇過塩素酸
・過塩素酸(HClO4)
<形状等>
無色の発煙性の液体
<性質>
比重 1.8 融点 -112℃
沸点 39℃(56mmHg)
水に溶ける。
水と接触すると音を立てて発熱する。
強い酸化力をもつ。
不安定な物質であるため、適正な状態で貯蔵しても、徐々に分解して黄色に変色する。
<危険性>
加熱や、長時間貯蔵により、爆発する危険性がある。
アルコールなどの可燃性物質と混合すると、発火、爆発の危険性がある。
おがくず、木片などの有機物と接触すると自然発火することがある。
皮膚を腐食する。
<火災予防の方法>
加熱を避ける。
可燃物(有機物)との接触を避ける。
容器は密栓する。
換気の良い冷暗所に貯蔵する。
変色している場合は廃棄する。
<消火の方法>
注水消火
酸化性液体
【品名・物品名ごとの各論】
〇過塩素酸
・過塩素酸(HClO4)
<形状等>
無色の発煙性の液体
<性質>
比重 1.8 融点 -112℃
沸点 39℃(56mmHg)
水に溶ける。
水と接触すると音を立てて発熱する。
強い酸化力をもつ。
不安定な物質であるため、適正な状態で貯蔵しても、徐々に分解して黄色に変色する。
<危険性>
加熱や、長時間貯蔵により、爆発する危険性がある。
アルコールなどの可燃性物質と混合すると、発火、爆発の危険性がある。
おがくず、木片などの有機物と接触すると自然発火することがある。
皮膚を腐食する。
<火災予防の方法>
加熱を避ける。
可燃物(有機物)との接触を避ける。
容器は密栓する。
換気の良い冷暗所に貯蔵する。
変色している場合は廃棄する。
<消火の方法>
注水消火
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〇過酸化水素
・過酸化水素(H2O2)
<形状等>
純粋なものは無色の粘性のある液体
<性質>
比重 1.5 融点 -0.4℃
沸点 152℃
水に溶ける。
弱酸性。
極めて不安定で、濃度50%以上のものは常温(20℃)でも水と酸素に分解する。
加熱したり、直射日光に当てたりすると、急速に分解する。
漂白剤、消毒剤などに使用される。(3%水溶液はオキシドールと呼ばれる。)
<危険性>
金属粉、有機物などとの混合により分解し、熱や衝撃を加えると、発火、爆発の危険性がある。
濃度50%以上のものは爆発性がある。
皮膚に触れると火傷する。
<火災予防の方法>
加熱、直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する。
金属粉、有機物との接触を避ける。
容器は密栓せず、通気のため、穴のあいた栓をしておく。
漏洩した場合は、多量の水で洗い流す。
<消火の方法>
注水消火
・過酸化水素(H2O2)
<形状等>
純粋なものは無色の粘性のある液体
<性質>
比重 1.5 融点 -0.4℃
沸点 152℃
水に溶ける。
弱酸性。
極めて不安定で、濃度50%以上のものは常温(20℃)でも水と酸素に分解する。
加熱したり、直射日光に当てたりすると、急速に分解する。
漂白剤、消毒剤などに使用される。(3%水溶液はオキシドールと呼ばれる。)
<危険性>
金属粉、有機物などとの混合により分解し、熱や衝撃を加えると、発火、爆発の危険性がある。
濃度50%以上のものは爆発性がある。
皮膚に触れると火傷する。
<火災予防の方法>
加熱、直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する。
金属粉、有機物との接触を避ける。
容器は密栓せず、通気のため、穴のあいた栓をしておく。
漏洩した場合は、多量の水で洗い流す。
<消火の方法>
注水消火
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〇硝酸
・硝酸(HNO3)
<形状等>
無色の液体
<性質>
比重 1.5(市販品は1.38以上) 融点 -42℃
沸点 86℃
水に溶ける。
水溶液は強酸性。
湿気を含む空気中で褐色に発煙する。
常温(20℃)でも多少分解する。
加熱したり、直射日光に当てたりすると黄褐色となり、酸素、二酸化窒素を生じる。
鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムなどは、希硝酸には溶けるが、濃硝酸には溶けない。
<危険性>
二硫化炭素、アミン類などと混合すると、発火、爆発の危険性がある。
のこくず、木毛などの有機物と接触すると、発火することがある。
金属粉と接触すると、有毒な窒素酸化物を生じる。
有毒である。
腐食性があり、金属や皮膚をおかす。
<火災予防の方法>
加熱、直射日光を避ける。
可燃物、有機物、金属粉との接触を避ける。
貯蔵の際には、比較的安定なステンレス鋼やアルミニウム製の容器を使用する。
容器は密栓する。
換気の良い冷暗所に貯蔵する。
<消火の方法>
硝酸自体は燃焼しないので、燃焼物に対応した消火方法をとる。
流出した場合には、乾燥砂による流出の防止、注水による希釈、消石灰、ソーダによる中和処理を行う。
・硝酸(HNO3)
<形状等>
無色の液体
<性質>
比重 1.5(市販品は1.38以上) 融点 -42℃
沸点 86℃
水に溶ける。
水溶液は強酸性。
湿気を含む空気中で褐色に発煙する。
常温(20℃)でも多少分解する。
加熱したり、直射日光に当てたりすると黄褐色となり、酸素、二酸化窒素を生じる。
鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムなどは、希硝酸には溶けるが、濃硝酸には溶けない。
<危険性>
二硫化炭素、アミン類などと混合すると、発火、爆発の危険性がある。
のこくず、木毛などの有機物と接触すると、発火することがある。
金属粉と接触すると、有毒な窒素酸化物を生じる。
有毒である。
腐食性があり、金属や皮膚をおかす。
<火災予防の方法>
加熱、直射日光を避ける。
可燃物、有機物、金属粉との接触を避ける。
貯蔵の際には、比較的安定なステンレス鋼やアルミニウム製の容器を使用する。
容器は密栓する。
換気の良い冷暗所に貯蔵する。
<消火の方法>
硝酸自体は燃焼しないので、燃焼物に対応した消火方法をとる。
流出した場合には、乾燥砂による流出の防止、注水による希釈、消石灰、ソーダによる中和処理を行う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・発煙硝酸(HNO3)
<形状等>
赤色または赤褐色の液体
<性質>
比重 1.52以上
水に溶ける。
水溶液は強酸性。
空気中で褐色の蒸気を発生する。
硝酸より酸化力が強い。
<危険性>
二硫化炭素、アミン類などと混合すると、発火、爆発の危険性がある。
のこくず、木毛などの有機物と接触すると、発火することがある。
金属粉と接触すると、有毒な窒素酸化物を生じる。
有毒である。
腐食性があり、金属や皮膚をおかす。
<火災予防の方法>
加熱、直射日光を避ける。
可燃物、有機物、金属粉との接触を避ける。
貯蔵の際には、比較的安定なステンレス鋼やアルミニウム製の容器を使用する。
容器は密栓する。
換気の良い冷暗所に貯蔵する。
<消火の方法>
硝酸自体は燃焼しないので、燃焼物に対応した消火方法をとる。
流出した場合には、乾燥砂による流出の防止、注水による希釈、消石灰、ソーダによる中和処理を行う。
<形状等>
赤色または赤褐色の液体
<性質>
比重 1.52以上
水に溶ける。
水溶液は強酸性。
空気中で褐色の蒸気を発生する。
硝酸より酸化力が強い。
<危険性>
二硫化炭素、アミン類などと混合すると、発火、爆発の危険性がある。
のこくず、木毛などの有機物と接触すると、発火することがある。
金属粉と接触すると、有毒な窒素酸化物を生じる。
有毒である。
腐食性があり、金属や皮膚をおかす。
<火災予防の方法>
加熱、直射日光を避ける。
可燃物、有機物、金属粉との接触を避ける。
貯蔵の際には、比較的安定なステンレス鋼やアルミニウム製の容器を使用する。
容器は密栓する。
換気の良い冷暗所に貯蔵する。
<消火の方法>
硝酸自体は燃焼しないので、燃焼物に対応した消火方法をとる。
流出した場合には、乾燥砂による流出の防止、注水による希釈、消石灰、ソーダによる中和処理を行う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇その他のもので政令で定めるもの
・三フッ化臭素(BrF3)
<形状等>
無色の液体
<性質>
比重 2.84 融点 9℃
沸点 126℃
水と接触すると激しく反応し、発熱、分解する。
空気中で発煙する。
融点が低く、低温では固まる。
<危険性>
可燃物と接触すると発熱し、自然発火する可能性がある。
水と接触すると、猛毒で腐食性のフッ化水素を発生する。
<火災予防の方法>
可燃物や水との接触を避ける。
容器は密栓する。
<消火の方法>
粉末消火剤または乾燥砂で消火する。
水系の消火剤は使用できない。
・三フッ化臭素(BrF3)
<形状等>
無色の液体
<性質>
比重 2.84 融点 9℃
沸点 126℃
水と接触すると激しく反応し、発熱、分解する。
空気中で発煙する。
融点が低く、低温では固まる。
<危険性>
可燃物と接触すると発熱し、自然発火する可能性がある。
水と接触すると、猛毒で腐食性のフッ化水素を発生する。
<火災予防の方法>
可燃物や水との接触を避ける。
容器は密栓する。
<消火の方法>
粉末消火剤または乾燥砂で消火する。
水系の消火剤は使用できない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・五フッ化臭素(BrF5)
<形状等>
無色の液体
<性質>
比重 2.46 融点 -60℃
沸点 41℃
水と接触すると激しく反応し、発熱、分解する。
空気中で発煙する。
沸点が低いため、蒸発しやすい。
<危険性>
水と接触すると、猛毒で腐食性のフッ化水素を発生する。
三フッ化臭素より反応性に富み、ほとんどの元素、化合物と反応してフッ化物に変化する。
<火災予防の方法>
可燃物や水との接触を避ける。
容器は密栓する。
<消火の方法>
粉末消火剤または乾燥砂で消火する。
水系の消火剤は使用できない。
〇前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
<形状等>
無色の液体
<性質>
比重 2.46 融点 -60℃
沸点 41℃
水と接触すると激しく反応し、発熱、分解する。
空気中で発煙する。
沸点が低いため、蒸発しやすい。
<危険性>
水と接触すると、猛毒で腐食性のフッ化水素を発生する。
三フッ化臭素より反応性に富み、ほとんどの元素、化合物と反応してフッ化物に変化する。
<火災予防の方法>
可燃物や水との接触を避ける。
容器は密栓する。
<消火の方法>
粉末消火剤または乾燥砂で消火する。
水系の消火剤は使用できない。
〇前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの