危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
■ 第四類危険物の品名ごとの一般的性質
第一石油類
<非水溶性液体>
ガソリン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、エチルメチルケトン
<水溶性液体>
アセトン、ピリジン
《第一石油類》
第一石油類とは、アセトン、ガソリン、その他1気圧において
引火点が21℃未満
のものをいう。
ガソリン
品名:第一石油類
化学式: -
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.65~0.75
蒸気比重:3~4
引火点:-40℃以下
発火点:約300℃
沸点:30~160℃
融点: -
燃焼範囲:1.4~7.6vol%
【性 状】
①灯油や軽油との識別を容易にするため、オレンジ色に着色している。
②揮発しやすい。
③水には溶けない。
④ゴム、油脂等を溶かす。
⑤炭化水素の混合物である。
ガソリンには自動車用、航空用、工業用の3種類があり、沸点、引火点に若干の差がある。
【危険性】
①引火点が-40℃と低く、引火しやすい。
②沸点は、混合物の種類によって異なるが、40℃~220℃と低く揮発しやすいものもある。
③蒸気比重が3~4と大きいため、低く遠くに流れ、風下の遠い点火源から引火する。
④燃焼範囲は1.4~7.6vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
⑤電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②蒸気比重は3~4倍と大きく、低所に滞留しやすいため、取り扱い時は特に通風、換気を良くする。
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
ベンゼン
品名:第一石油類
化学式:C6H6
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.9
蒸気比重:2.8
引火点:-11.1℃
発火点:498℃
沸点:80℃
融点:5.5℃
燃焼範囲:1.2~7.8vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②芳香臭がある。
③水には溶けない。
④アルコール、ジエチルエーテル等多くの有機溶剤によく溶ける。
⑤各種の有機物をよく溶かす。
【危険性】
①引火点が-10℃と低く、引火しやすい。
②燃焼範囲は1.3~7.1vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
③電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
④有毒である。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②冬期、固化したものであっても引火の危険性があるため、取扱、貯蔵に際して火気に注意する。
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
トルエン
品名:第一石油類
化学式:C6H5CH3
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.9
蒸気比重:3.1
引火点:4℃
発火点:480℃
沸点:111℃
融点:-95℃
燃焼範囲:1.1~7.1vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②芳香臭がある。
③水には溶けない。
④アルコール、ジエチルエーテル等多くの有機溶剤によく溶ける。
⑤揮発性を有する。
【危険性】
①燃焼範囲は1.1~7.1vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
③毒性はベンゼンよりも低い。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②蒸気比重は3.1と大きく、低所に滞留しやすいため、取り扱い時は特に通風、換気を良くする。
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
酢酸エチル
品名:第一石油類
化学式:CH3COOC2H5
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.9
蒸気比重:3.0
引火点:-4℃
発火点:426℃
沸点:77℃
融点:-83.6℃
燃焼範囲:2.0~11.5vol%
【性 状】
①無色の液体である。
②芳香臭がある。
③水にわずかに溶ける。
④ほとんどの有機溶剤に溶ける。
【危険性】
①燃焼範囲は2.0~11.5vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
エチルメチルケトン
品名:第一石油類
化学式:CH3COC2H5
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.8
蒸気比重:2.5
引火点:-9℃
発火点:404℃
沸点:80℃
融点:-86℃
燃焼範囲:1.4~11.4vol%
【性 状】
①無色の液体である。
②特異臭がある。
③水にわずかに溶ける。
④アルコール、ジエチルエーテル等によく溶ける。
⑤油脂等をよく溶かす。
【危険性】
①燃焼範囲は1.4~11.4vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
③有毒である。
④燃焼に伴って一酸化炭素を多く発生する。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
【消火の方法】
①一般の泡消火剤は不適当であるが、水を噴霧状にして用いれば、冷却・希釈効果により消火できる。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
アセトン
品名:第一石油類
化学式:CH3COCH3
指定数量:400リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.8
蒸気比重:2.0
引火点:-20℃
発火点:465℃
沸点:56℃
融点:-94.8℃
燃焼範囲:2.5~12.8vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②エーテルに近い特異臭がある。
③水によく溶ける。
④アルコール、ジエチルエーテル等によく溶ける。
⑤樹脂、油脂、その他の有機物を溶かす。
⑥揮発しやすい。
⑦蒸気比重は2.0であり、第四類危険物中では小さい方である。
【危険性】
①沸点が56℃と低く、また引火点も-20℃と低いので、容易に揮発し引火しやすい。
②燃焼範囲は2.5~12.8vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
③直射日光を当てたり、空気にさらしておくと分解し、過酸化物を生成するため、引火性のアセトンと共存することになり、爆発の危険性を有することとなる。
④電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②直射日光を避ける。
【消火の方法】
①一般の泡消火剤は不適当であるが、水を噴霧状にして用いれば、冷却・希釈効果により消火できる。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
ピリジン
品名:第一石油類
化学式:C5H5N
指定数量:400リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.98
蒸気比重:2.7
引火点:20℃
発火点:482℃
沸点:115.5℃
融点:-38℃
燃焼範囲:1.8~12.4vol%
【性 状】
①無色の液体である。
②悪臭を放つ。
③水及びアルコール、ジエチルエーテル、アセトン等の有機溶剤によく溶ける。
④多くの有機物を溶かす。
【危険性】
①燃焼範囲は1.8~12.4vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
③毒性がある。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
【消火の方法】
①一般の泡消火剤は不適当であるが、水を噴霧状にして用いれば、冷却・希釈効果により消火できる。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
■ 第四類危険物の品名ごとの一般的性質
第一石油類
<非水溶性液体>
ガソリン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、エチルメチルケトン
<水溶性液体>
アセトン、ピリジン
《第一石油類》
第一石油類とは、アセトン、ガソリン、その他1気圧において
引火点が21℃未満
のものをいう。
ガソリン
品名:第一石油類
化学式: -
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.65~0.75
蒸気比重:3~4
引火点:-40℃以下
発火点:約300℃
沸点:30~160℃
融点: -
燃焼範囲:1.4~7.6vol%
【性 状】
①灯油や軽油との識別を容易にするため、オレンジ色に着色している。
②揮発しやすい。
③水には溶けない。
④ゴム、油脂等を溶かす。
⑤炭化水素の混合物である。
ガソリンには自動車用、航空用、工業用の3種類があり、沸点、引火点に若干の差がある。
【危険性】
①引火点が-40℃と低く、引火しやすい。
②沸点は、混合物の種類によって異なるが、40℃~220℃と低く揮発しやすいものもある。
③蒸気比重が3~4と大きいため、低く遠くに流れ、風下の遠い点火源から引火する。
④燃焼範囲は1.4~7.6vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
⑤電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②蒸気比重は3~4倍と大きく、低所に滞留しやすいため、取り扱い時は特に通風、換気を良くする。
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
ベンゼン
品名:第一石油類
化学式:C6H6
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.9
蒸気比重:2.8
引火点:-11.1℃
発火点:498℃
沸点:80℃
融点:5.5℃
燃焼範囲:1.2~7.8vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②芳香臭がある。
③水には溶けない。
④アルコール、ジエチルエーテル等多くの有機溶剤によく溶ける。
⑤各種の有機物をよく溶かす。
【危険性】
①引火点が-10℃と低く、引火しやすい。
②燃焼範囲は1.3~7.1vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
③電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
④有毒である。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②冬期、固化したものであっても引火の危険性があるため、取扱、貯蔵に際して火気に注意する。
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
トルエン
品名:第一石油類
化学式:C6H5CH3
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.9
蒸気比重:3.1
引火点:4℃
発火点:480℃
沸点:111℃
融点:-95℃
燃焼範囲:1.1~7.1vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②芳香臭がある。
③水には溶けない。
④アルコール、ジエチルエーテル等多くの有機溶剤によく溶ける。
⑤揮発性を有する。
【危険性】
①燃焼範囲は1.1~7.1vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
③毒性はベンゼンよりも低い。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②蒸気比重は3.1と大きく、低所に滞留しやすいため、取り扱い時は特に通風、換気を良くする。
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
酢酸エチル
品名:第一石油類
化学式:CH3COOC2H5
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.9
蒸気比重:3.0
引火点:-4℃
発火点:426℃
沸点:77℃
融点:-83.6℃
燃焼範囲:2.0~11.5vol%
【性 状】
①無色の液体である。
②芳香臭がある。
③水にわずかに溶ける。
④ほとんどの有機溶剤に溶ける。
【危険性】
①燃焼範囲は2.0~11.5vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
【消火の方法】
泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する。
エチルメチルケトン
品名:第一石油類
化学式:CH3COC2H5
指定数量:200リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.8
蒸気比重:2.5
引火点:-9℃
発火点:404℃
沸点:80℃
融点:-86℃
燃焼範囲:1.4~11.4vol%
【性 状】
①無色の液体である。
②特異臭がある。
③水にわずかに溶ける。
④アルコール、ジエチルエーテル等によく溶ける。
⑤油脂等をよく溶かす。
【危険性】
①燃焼範囲は1.4~11.4vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
③有毒である。
④燃焼に伴って一酸化炭素を多く発生する。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
【消火の方法】
①一般の泡消火剤は不適当であるが、水を噴霧状にして用いれば、冷却・希釈効果により消火できる。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
アセトン
品名:第一石油類
化学式:CH3COCH3
指定数量:400リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.8
蒸気比重:2.0
引火点:-20℃
発火点:465℃
沸点:56℃
融点:-94.8℃
燃焼範囲:2.5~12.8vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②エーテルに近い特異臭がある。
③水によく溶ける。
④アルコール、ジエチルエーテル等によく溶ける。
⑤樹脂、油脂、その他の有機物を溶かす。
⑥揮発しやすい。
⑦蒸気比重は2.0であり、第四類危険物中では小さい方である。
【危険性】
①沸点が56℃と低く、また引火点も-20℃と低いので、容易に揮発し引火しやすい。
②燃焼範囲は2.5~12.8vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
③直射日光を当てたり、空気にさらしておくと分解し、過酸化物を生成するため、引火性のアセトンと共存することになり、爆発の危険性を有することとなる。
④電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②直射日光を避ける。
【消火の方法】
①一般の泡消火剤は不適当であるが、水を噴霧状にして用いれば、冷却・希釈効果により消火できる。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
ピリジン
品名:第一石油類
化学式:C5H5N
指定数量:400リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.98
蒸気比重:2.7
引火点:20℃
発火点:482℃
沸点:115.5℃
融点:-38℃
燃焼範囲:1.8~12.4vol%
【性 状】
①無色の液体である。
②悪臭を放つ。
③水及びアルコール、ジエチルエーテル、アセトン等の有機溶剤によく溶ける。
④多くの有機物を溶かす。
【危険性】
①燃焼範囲は1.8~12.4vol%と比較的狭いが、下限界が低いため引火しやすい。
②電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
③毒性がある。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
【消火の方法】
①一般の泡消火剤は不適当であるが、水を噴霧状にして用いれば、冷却・希釈効果により消火できる。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
★ 次のような問題が出題されます。★
第一石油類(例:ガソリン)に関しては、次のような形で出題されることがあります。
【問題】
次のガソリンの性状についての記述のうち正しいものはどれか。
(1)水によく溶ける。
(2)引火点は-40℃以下である。
(3)燃焼範囲は1.4~7.6vol%である。
(4)電気の不良導体であるため、流動などの際に静電気を発生しやすい。
(5)蒸気比重は約3~4倍と重いので、低所に滞留しやすい。
【解答】
(1)
【解説】
水には溶けない。