危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
主要項目
■ 危険物の分類と
類別の性質
■ 第四類危険物
(引火性液体)
■ 第四類危険物の
品名ごとの一般的性質
■ 第四類以外の危険物
■ 第四類危険物の品名ごとの一般的性質
特殊引火物
<非水溶性液体>
ジエチルエーテル、二硫化炭素
<水溶性液体>
アセトアルデヒド、酸化プロピレン
《特殊引火物》
特殊引火物とは、ジエチルエーテル、二硫化炭素その他1気圧において、
発火点が100℃以下
又は
引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下
のものをいう。
ジエチルエーテル
品名:特殊引火物
化学式:C2H5OC2H5
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.7
蒸気比重:2.6
引火点:-45℃
発火点:160℃
沸点:34.6℃
融点:-116.3℃
燃焼範囲:1.9~36vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②刺激臭を有する。
③揮発しやすい。
④発火点、引火点が極めて低い。
⑤水にはほとんど溶けないが、アルコールにはよく溶ける。
【危険性】
①引火点が-45℃と、第四類危険物中最も低く、又沸点が35℃と低いため、容易に揮発し、きわめて引火しやすい。
②燃焼範囲が1.9~36vol%と広く、かつ、その下限界が低い。
③直射日光にさらしたり、長時間空気に触れると過酸化物を生じ、加熱、衝撃等により爆発の危険性がある。
④電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
⑤燃焼の際、有毒ガスを発生するが、燃焼していない状態であっても有毒な蒸気を発散させている。
⑥蒸気は麻酔性がある。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②沸点以上とならないよう、冷却装置等を設け、温度管理を行う。
③直射日光を避けて冷暗所に貯蔵する。
④容器に収納した場合には密栓する。
【消火の方法】
①消火剤として、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等を用いた窒息消火が有効である。
②わずかに水溶性を有するため、泡消火剤を使用する場合には、大量に使用するか、または耐アルコール泡消火剤を使用しなければならない。
二硫化炭素
品名:特殊引火物
化学式:CS2
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:1.3
蒸気比重:2.6
引火点:-30℃以下
発火点:90℃
沸点:46℃
融点:-111.6℃
燃焼範囲:1.3~50vol%
【性 状】
①無色で刺激臭のある液体である。
②揮発しやすい。
③水には溶けないが、エチルアルコール、ジエチルエーテルには溶ける。
④比重が1.3と1より大きいのは、第四類危険物中の少ない例である。
【危険性】
①引火点-30℃、発火点90℃と共に低いため、ジエチルエーテルと同様に注意が必要である。
②発火点が非常に低いため、蒸気配管等に接触しただけでも発火する危険性がある。
③燃焼範囲が1.3~50vol%と広く、かつ、その下限界が低い。
④電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
⑤燃焼の際、有毒ガスである二酸化硫黄を発生する。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②発火点が低いため、むやみに加熱させない。
③水に溶けないこと、比重が水より大きいことから、貯蔵に際しては貯蔵槽の中に水を張って貯蔵する水没貯蔵が適している。これにより蒸気の発生を抑える。
【消火の方法】
①水噴霧、粉末、泡、二酸化炭素等を用いた窒息消火が有効である。
②水より重たいため、大量の水を用いて燃焼表面を覆うことで窒息消火する。
③発火点が90℃と低いことから、再燃防止のため噴霧注水によって二硫化炭素や周囲の燃焼物を冷却する。
アセトアルデヒド
品名:特殊引火物
化学式:CH3CHO
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.8
蒸気比重:1.5
引火点:-39℃
発火点:175℃
沸点:21℃
融点:-121℃
燃焼範囲:4.0~60vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②刺激臭を有する。
③揮発しやすい。
④水によく溶け、アルコール、ジエチルエーテルにも溶ける。
【危険性】
①沸点が20℃と低く、また引火点も-39℃と低いので、容易に揮発し引火しやすい。
②燃焼範囲は4.0~60vol%と大変広い。
③空気中で加圧されると爆発性の過酸化物を生成する。
④熱または光で分解するとメタンと一酸化炭素を発生する。
⑤蒸気は粘膜を刺激し有毒である。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②貯蔵する場合は、窒素、ネオン、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを封入する装置を設置する。
③貯蔵タンクや容器は鋼製とし、銅およびその合金、銀を使用しない。(爆発性の化合物を生じるおそれがある。)
④直射日光を避ける。
【消火の方法】
①アセトアルデヒドは、水によく溶けるため、噴霧状の水により冷却と希釈の効果による消火が可能である。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
酸化プロピレン
品名:特殊引火物
化学式:CH3CHOCH2
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.8
蒸気比重:2.0
引火点:-37℃
発火点:449℃
沸点:35℃
融点:-112℃
燃焼範囲:2.3~36vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②エーテル臭を有する。
③揮発しやすい。
④水、エチルアルコール、ジエチルエーテル等によく溶ける。
【危険性】
①沸点が35℃と低く、また引火点も-37℃と低いので、容易に揮発し引火しやすい。
②燃焼範囲は2.3~37vol%と大変広い。
③重合する性質があり、その際熱を発生し、火災、爆発の原因となる。
④銅、銀等の金属に触れると重合が促進されやすい。
⑤蒸気は刺激性はないが有毒で、皮膚に付着すると凍傷と同様の症状を呈することがある。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②沸点が35℃と低いため、取扱タンクは冷却装置を設置する。
③貯蔵する場合は、窒素、ネオン、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを封入する装置を設置する。
【消火の方法】
①酸化プロピレンは、水によく溶けるため、噴霧状の水により冷却と希釈の効果による消火が可能である。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
主要項目
■ 危険物の分類と
類別の性質
■ 第四類危険物
(引火性液体)
■ 第四類危険物の
品名ごとの一般的性質
■ 第四類以外の危険物
■ 第四類危険物の品名ごとの一般的性質
特殊引火物
<非水溶性液体>
ジエチルエーテル、二硫化炭素
<水溶性液体>
アセトアルデヒド、酸化プロピレン
《特殊引火物》
特殊引火物とは、ジエチルエーテル、二硫化炭素その他1気圧において、
発火点が100℃以下
又は
引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下
のものをいう。
ジエチルエーテル
品名:特殊引火物
化学式:C2H5OC2H5
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:0.7
蒸気比重:2.6
引火点:-45℃
発火点:160℃
沸点:34.6℃
融点:-116.3℃
燃焼範囲:1.9~36vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②刺激臭を有する。
③揮発しやすい。
④発火点、引火点が極めて低い。
⑤水にはほとんど溶けないが、アルコールにはよく溶ける。
【危険性】
①引火点が-45℃と、第四類危険物中最も低く、又沸点が35℃と低いため、容易に揮発し、きわめて引火しやすい。
②燃焼範囲が1.9~36vol%と広く、かつ、その下限界が低い。
③直射日光にさらしたり、長時間空気に触れると過酸化物を生じ、加熱、衝撃等により爆発の危険性がある。
④電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
⑤燃焼の際、有毒ガスを発生するが、燃焼していない状態であっても有毒な蒸気を発散させている。
⑥蒸気は麻酔性がある。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②沸点以上とならないよう、冷却装置等を設け、温度管理を行う。
③直射日光を避けて冷暗所に貯蔵する。
④容器に収納した場合には密栓する。
【消火の方法】
①消火剤として、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等を用いた窒息消火が有効である。
②わずかに水溶性を有するため、泡消火剤を使用する場合には、大量に使用するか、または耐アルコール泡消火剤を使用しなければならない。
二硫化炭素
品名:特殊引火物
化学式:CS2
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:非水溶性
比重:1.3
蒸気比重:2.6
引火点:-30℃以下
発火点:90℃
沸点:46℃
融点:-111.6℃
燃焼範囲:1.3~50vol%
【性 状】
①無色で刺激臭のある液体である。
②揮発しやすい。
③水には溶けないが、エチルアルコール、ジエチルエーテルには溶ける。
④比重が1.3と1より大きいのは、第四類危険物中の少ない例である。
【危険性】
①引火点-30℃、発火点90℃と共に低いため、ジエチルエーテルと同様に注意が必要である。
②発火点が非常に低いため、蒸気配管等に接触しただけでも発火する危険性がある。
③燃焼範囲が1.3~50vol%と広く、かつ、その下限界が低い。
④電気の不良導体で、流動すると静電気を発生しやすい。
⑤燃焼の際、有毒ガスである二酸化硫黄を発生する。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②発火点が低いため、むやみに加熱させない。
③水に溶けないこと、比重が水より大きいことから、貯蔵に際しては貯蔵槽の中に水を張って貯蔵する水没貯蔵が適している。これにより蒸気の発生を抑える。
【消火の方法】
①水噴霧、粉末、泡、二酸化炭素等を用いた窒息消火が有効である。
②水より重たいため、大量の水を用いて燃焼表面を覆うことで窒息消火する。
③発火点が90℃と低いことから、再燃防止のため噴霧注水によって二硫化炭素や周囲の燃焼物を冷却する。
アセトアルデヒド
品名:特殊引火物
化学式:CH3CHO
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.8
蒸気比重:1.5
引火点:-39℃
発火点:175℃
沸点:21℃
融点:-121℃
燃焼範囲:4.0~60vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②刺激臭を有する。
③揮発しやすい。
④水によく溶け、アルコール、ジエチルエーテルにも溶ける。
【危険性】
①沸点が20℃と低く、また引火点も-39℃と低いので、容易に揮発し引火しやすい。
②燃焼範囲は4.0~60vol%と大変広い。
③空気中で加圧されると爆発性の過酸化物を生成する。
④熱または光で分解するとメタンと一酸化炭素を発生する。
⑤蒸気は粘膜を刺激し有毒である。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②貯蔵する場合は、窒素、ネオン、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを封入する装置を設置する。
③貯蔵タンクや容器は鋼製とし、銅およびその合金、銀を使用しない。(爆発性の化合物を生じるおそれがある。)
④直射日光を避ける。
【消火の方法】
①アセトアルデヒドは、水によく溶けるため、噴霧状の水により冷却と希釈の効果による消火が可能である。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
酸化プロピレン
品名:特殊引火物
化学式:CH3CHOCH2
指定数量:50リットル
形状:液体
性質:水溶性
比重:0.8
蒸気比重:2.0
引火点:-37℃
発火点:449℃
沸点:35℃
融点:-112℃
燃焼範囲:2.3~36vol%
【性 状】
①無色透明の液体である。
②エーテル臭を有する。
③揮発しやすい。
④水、エチルアルコール、ジエチルエーテル等によく溶ける。
【危険性】
①沸点が35℃と低く、また引火点も-37℃と低いので、容易に揮発し引火しやすい。
②燃焼範囲は2.3~37vol%と大変広い。
③重合する性質があり、その際熱を発生し、火災、爆発の原因となる。
④銅、銀等の金属に触れると重合が促進されやすい。
⑤蒸気は刺激性はないが有毒で、皮膚に付着すると凍傷と同様の症状を呈することがある。
【火災予防の方法】
①第四類危険物共通事項
その他特異事項
②沸点が35℃と低いため、取扱タンクは冷却装置を設置する。
③貯蔵する場合は、窒素、ネオン、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを封入する装置を設置する。
【消火の方法】
①酸化プロピレンは、水によく溶けるため、噴霧状の水により冷却と希釈の効果による消火が可能である。
②耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物等の消火剤が有効である。
★ 次のような問題が出題されます。★
特殊引火物(例:ジエチルエーテル)に関しては、次のような形で出題されることがあります。
【問題】
ジエチルエーテルについて、次のうち誤っているものはどれか。
(1)日光にさらしたり、空気と長く接触すると過酸化物を生じ、加熱、衝撃などにより爆発の危険がある。
(2)水には溶けるが、アルコールには溶けない。
(3)揮発しやすく、刺激臭がある。
(4)燃焼範囲は広く、その下限界が小さい。
(5)蒸気比重は2.6と、空気よりも重い。
【解答】
(2)
【解説】
ジエチルエーテルは、水にはわずかに溶け、アルコールにはよく溶ける。